近年は電子書籍が市場拡大してきているが,やはり紙媒体の本というものにこだわりを持つ人も多い。そこで,紙の本のカバーとして使用するのに最適なものを色という観点で考察してみた。もちろん表紙絵や文字のデザインが売り上げに大きく影響するのは確かなので,一面的でエンタテインメント的な記事だと思って読んでいただきたい。

今回評価する点は次の3つ。

  • 書店で手に取ってもらえる
  • 読むことに集中できる
  • 本の内容を理解・記憶等するのに好影響を持つ

それでは行ってみよう。 

 

第一に店頭で手に取ってもらうには,目立つ表紙・背表紙であるとよい。これを満足する色として,注目を集めたり知識欲を刺激したりする黄色,親しみやすいイメージの橙色,やる気を起こさせる赤色といったものがあげられる。あるいは書店の本棚が薄い黄色であることはよくあるので,黄色系の補色である青や紫といった色も適当かもしれない。

ただし,いざ購入して自分の本棚に並べるときにその本だけ目立ちすぎるのも考えものだ。出版社側は本を売るのが目的だが,買う側としては自分の本棚でほかの本とのバランスが悪くならないものが望ましい。したがって,本を購入する際には表紙の色の効果に惑わされないようにしたい。ベストなのは本の帯だけ目立つ色で,自分で本棚に並べるときに取り外しができるものだろう。

 

次に,本を購入して読むときに望ましい色について。本を読むときにはどうしても表紙の裏,著者のプロフィール等が記載されている面(”そで”と呼ぶらしい)が視界に入ってしまう。この”そで”の部分の色はどのようなものが良いだろうか。

ストレスや疲労を軽減し,集中力を高める色として緑,青,紫といったものがある。特に紫色は芸術的感性を刺激してくれるので,小説や詩集などには適当かもしれない。また,色相・明度・彩度が近い色の組み合わせはα波を喚起して癒し効果をもたらし,色相あるいは明度と彩度が対比関係の組み合わせであれば精神的負荷が小さい。ただし明度が近く,彩度の高い色同士では「ハレーション」という目がチカチカする現象が起きてしまうことがある。このハレーションは間に黒,白,グレーなどの無彩色を挟むと軽減される。

以上のことを踏まえて考えてみる。”そで”は同じような色相・明度・低い彩度の青系を基調とした二色にしよう。ハレーションの影響を考慮して著者プロフィールなどを白やグレーの線で囲み,そこを二色の境界線とすればよいのではないだろうか。逆に”そで”に赤などの警告色を使用すると文章から注意がそれてしまい,集中できない。

 

さて,黄色は注目を集め,知識欲を高めると述べた。これらに加えて,読書をするにあたって非常に重要な記憶力を高めるという効果もある。そこで,本の中身(ページ)を悪影響が出ない,気が付かない程度に黄色がかった白にしてみよう。”そで”は紫系,中身は少し黄色がかった白だ。紫と黄色は色相が対比しているので精神的負荷が小さくなる。白は彩度がゼロと低いのでハレーションは起こりにくいだろうが,白の明度が最も大きいことを考慮すると,”そで”の明度を落として明度差を広げればより万全だろう。

 

長々と書いてきたが,ここまでのことをまとめる。

  • 表紙はデザイン+警告色で目立たせる。背表紙には警告色を控える(帯に使うのはOK)。
  • 本を購入する側は,外観(色とデザイン)に惑わされないようにする。
  • ”そで”の著者プロフィール等を白やグレーの線で囲い,それを境界線として青や紫で明度・彩度が近い二色にする。集中力アップ・ストレス軽減・リラックス。
  • 本の中身(ページ)を若干黄色が買った白にする。精神的負荷は小さく,記憶力アップ。

 

これだけ細かい条件を満たした表紙の本を探すのは困難と思われるので,自分で紙を切ったり色ペンで塗ったりしてオリジナルカバーを作ってみてはいかがだろうか。筆者も今度試してみます。

 

以下,参考

https://re-sta.jp/color-psychology-7787

http://color-psychology.jp/colorimage.html

https://ci.nii.ac.jp/naid/110001826407