以前,タイのチェンマイからラオスのルアンパバーンへのフライトで,プロペラ機を利用したので,その原理を紹介する。

飛行機の原理

翼と空気の流れ
翼と空気の流れの関係

この図を見ながら,飛行機が空高く飛ぶ原理を説明しよう。

飛行機の翼は上面に丸みを帯びており,空気は矢印の方向に流れる。上面の流れは下面よりも長い距離を移動する必要があり,速度が大きい。空気が比較的ゆっくり流れる下面との間に速度差・圧力差が生まれ,垂直上向きの力が作用する。これは空気の運動エネルギーと圧力エネルギーの和が保存される(ベルヌーイの定理)ことによる。少し正確ではないが,「速いと疎,遅いと密」と考えるとわかりやすいだろう。一方で重量のある飛行機には下向きに重力が作用している。主に翼の角度を制御することで,この2力の関係を変化させて上昇下降の制御が可能になる。

例を出してみる。手を地面に水平な状態から少し傾けて,卓球の素振りをするような感じでスイングしてみる。手の平には空気を切っている感覚があるが,手の甲にはその感覚が弱い。これが翼と空気の関係と対応している。

次に進行方向についてみてみよう。飛行機は空気を”押しのけながら”進んでおり,進行方向とは逆向きの力(空気抵抗)が作用する。ということは,機体を前方へ進めるための推力があればよい。この推力を生み出すものは飛行機の種類により異なり,ジェット機ではジェットエンジンが,プロペラ機ではプロペラの回転が担っている。

 

ジェット機の原理

ジェット機,というよりジェットエンジンの原理は理解しやすい。ジェットエンジン内部に空気を取り込み圧縮し,燃料と混ぜて燃やす。文字通り爆発的に体積が膨張した気体は後方へと排出され,作用反作用の法則により前方へ推力を得る。筆者はこのジェットエンジンにものすごく興味があるのでまだまだ書きたいことがありまくるが,次へ進もう。

 

プロペラ機の原理

冒頭で述べたように,プロペラの役割は”推力を得る”ことだ。後ろ向きの空気抵抗はひとまず置いておき,速度ゼロでのプロペラの回転を考える。プロペラの羽根からの視点で見ると,羽根は移動しながら空気を切っている。つまり,飛行機が上方へ浮く力を得るのと同じ原理で,プロペラの場合は前方へ推力を得ている。これが分かりにくいならば,プロペラは空気を後ろへ”かき出している”と言ってもよいかもしれない。

プロペラ機はコストも低く,ジェットエンジンよりもはるかにシンプルな形状から製造がカンタンなのだが,回転が高速になっていくと,あるところから衝撃波を生み出すようになり,エネルギーが大いに失われる。飛行機は一回の飛行で多く人を運んだほうが燃料費が浮くのだが,当然重量も大きくなるので,それにつりあう浮力を得るためには高速飛行が必要となる。以上がジェット機が主流になっている理由である。

 

止まる方法

最終的にはタイヤのブレーキで静止するが,着陸からある程度の低速まではそれぞれ別の方法で減速する。ジェット機が止まるときには,ジェットエンジンから空気を逆噴射して,空気抵抗+ブレーキ方向の推力で減速する。

一方でプロペラ機は,プロペラ羽根の角度を変えることで減速する。身近な例を出すと,竹とんぼはある回転方向に回すと上方へ飛んでいくが,逆方向へ回すと下へ落ちていく。竹とんぼは「羽根の角度が一定,回転方向が違う」が,プロペラ機は「回転方向が同じ,羽根の角度が変わる」という差でしかなく,ほぼ同じ原理でブレーキをかけている。

 

最後に。いまや世界中で億単位の人間が飛行機を利用しているが,実は飛行機にも使われている,空気の流れを記述する”ナビエ-ストークス方程式”の一般解は分かっていない。数学的に解けていないということだ。見た目はそれなりにシンプルな形をしているのに,ものすごく色々なところで使われているのに,だ。このように社会で広く使われていても数学的に解けていないものというのは数多くあるので,興味がある人はぜひ調べてもらいたい。