電車に乗っていると,定期的に「ガタンゴトン」という音が聞こえる。これの正体は何だろうか。結論を言うと,「レールのつなぎ目」である。 このつなぎ目があるのには,大きく三つの理由がある。

1. レールを組むときに,どうしてもできてしまうから

電車が上を走るレールも,製造物であり,当然ながら複数の短い棒をつなげて作ることになる。このつなぎ方は,枕木をおいてボルトで固定だったり,あらかじめ加工場で溶接し,ある程度長い棒同士をつなぎ合わせたりするのだが,そこではどうしても他の部分よりも盛り上がってしまう。列車が走行中にこの段差を通過することが,「ガタンゴトン」音の理由のひとつ目である。

2. 安全のため,わざと間隔を開けている

理由その1を読んで,「じゃあもっと長い材料を使うか,溶接して平坦にすればいいじゃないか」と考えるかもしれない。しかしながら,それでは安全面が保証されない。
長い材料を使うというのは,生産の都合上困難である。レールは圧延材という鉄鋼材である。例えば,断面が”H”の形の金属棒は,もともと長方形断面の棒で,それを周囲から圧力を加えながら引き抜いたり押し出したりすることで成形される。この製造方法から,工場の加工スペースの都合により,長さの限界がある。また,そもそもものづくりにおいて,多かれ少なかれ誤差が生じる。製造寸法が長い,大きいほど,その誤差は大きくなる。
次に,溶接を使わない理由について。あらゆるものは,一般に熱が加わると膨張する性質がある。身近な例を出すと,小銭は気温の高い夏にわずかに大きくなる。
溶接して完全にくっつけてしまうと,日光や車輪の摩擦熱によって加熱・膨張しようとしたときに,拘束されて内部に応力がかかってしまう。一日のうちに,夜になったり何度も列車が走行することで,力がかかったり解放されたりすることになる。材料には必ず,内部空孔などの欠陥が存在するので,この力のサイクルによって欠陥が進展し,最終的に破壊に至る。
ちなみに,インバー合金という,熱膨張の非常に小さい金属も存在するが,これを使わずとも膨張寸法の計算は可能なため,設計時に考慮すればよいだけの話である。

3. 保守・点検のため

溶接をしてしまうと,内部に気泡などが入ってしまう。外からこうしたものを検査することはできはするが,非常に大掛かりになるので,現実的に無理である。一方で,ボルトで固定してあると,メンテナンス時にトルクを調整するだけでよいので,保守性が非常に良い。

 

以上,「ガタンゴトン」音はレールに段差があるからであり,その理由を大きく三つ挙げた。①どうしてもできてしまう,②すきまができた方が安全,③ボルトで固定すると保守性が良い,である。レールも工業製品である以上,こうしたことを考慮して標準の長さや加工法が定められている。

このような誰も疑問に思わないけれども,理由を答えられないということを知っていると,なんだか少しくすぐったい気持ちになる。

 

以下,参考
https://www.nipponsteel.com/product/construction/list-construction/37.html